地震によるタウシュベツ橋梁跡損壊の詳細が判明
昨年9月26日の十勝沖地震は、苫小牧の出光興産北海道製油所での火災をはじめとして、北海道各地に多大な被害を及ぼしましたが、北海道遺産に指定されている旧国鉄士幌線のタウシュベツ橋梁跡も、この地震により一部が崩落してしまいました。しかし、湛水期に入っていたため、被害の全貌はこれまでわかっていなかったのですが、水位低下に伴い、傷ついたコンクリートアーチが姿を現しはじめました。
この様子は、鉄道趣味HPさんの特集ページに詳細写真がありました(現在残念ながら閉鎖されました)が、橋梁上部に幅3メートル、深さ2メートルに及ぶ崩落が確認できます。ひがし大雪自然ガイドセンター(上士幌町)によると、欠損部は橋脚上のつなぎ目にあたる、鉄筋が通っていない部分で、強度が低く、春以降欠損部周辺からさらに崩落が進む可能性もあるとのことです。
橋梁を所有する電源開発の上士幌電力所では、今後修繕や保存する予定はありません。まあ、これは業務の性格上やむを得ないことで、私も、毎年水没を繰り返して朽ち続けているものに再び人の手を加えてしまうのはどうかと思わないでもありません。かといって、あまりに優美な11連アーチ(実際自分の目で見るとホント目が覚めるほど、周りの景色と相まって美しいです)が無くなっていくのも惜しい気もしますし・・・難しいところではあります。
水位低下がさらに進んで、全容が明らかになってから、上士幌町が調査し対策を検討するということですが、推移が気になるところです。
さて、鉄道趣味HPをお開きになっていた方から、士幌線跡の他の橋梁についても情報を戴いております。実は、残念ながら、他の橋梁もそんなにいい状況ではないそうです。例えば第六音更川橋梁の帯広方の橋脚の基部が、音更川の水流に洗われ続けています。一昨年には洗堀防止工が下流に100〜150メートルほど流され、去年の台風でその部分がさらに洗われて橋脚が完全に露出してしまうまで、あと1メートルぐらいしかないという状況になっているということです(下写真)。橋脚が完全に露出すると、崩落の危機となります。
また、第五音更川橋梁も十勝三股方向の橋梁の隅の方が、だいぶ表面がはがれてきていたりと、どの橋梁も傷みが激しいようです。
写真は全て増田秀則氏ご提供